松村道央、逆転ツアー初V!舞台裏に歴代賞金王の“教え”アリ

2010年10月03日19時52分

リーダーズボード

順位 選手名 スコア
優勝 松村 道央 -8
2 兼本 貴司 -8
藤田 寛之 -8
4 B・ジョーンズ -6
石川 遼 -6
河野晃一郎 -6
7 上平 栄道 -5
キム・ドフン -5
9 谷口 拓也 -4
10 藤島 征次 -3
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初優勝を挙げた松村道央

初優勝を挙げた松村道央(撮影:米川昌俊)
初優勝を挙げた松村道央 強い気持ちでプレーした松村 プレーオフを制して優勝を決めた プレーオフは松村、藤田、兼本の3選手で行われた 優勝インタビューでは、若手の中に交じって勝っていきたいと話した スピーチではボランティアや大会関係者に感謝した
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<コカ・コーラ東海クラシック 最終日>◇3日◇三好カントリー倶楽部(7,310ヤード・パー72)

 難関三好にプロ5年目の涙が輝いた。国内男子ツアー「コカ・コーラ東海クラシック」の最終日。松村道央が藤田寛之、兼本貴司との3つ巴のプレーオフを制し念願のツアー初優勝を達成した。3打差の4位タイからスタートした序盤は最悪の滑り出しだった。2番でボギーを叩くと、6番ではラフからラフを渡り歩いた末にダブルボギー。「色んなことを考えすぎてつまづく」好位置で迎えた最終日に失速するいつもの悪いパターンが頭をよぎる。

松村道央のプロフィール&今季成績

 しかし、今日の松村はここからが違った。ダボ直後の7番パー5で攻めて2オンに成功。バーディとすると9番でもバーディを奪いギリギリで優勝戦線に踏みとどまる。そして、わずかな可能性を残して突入したバックナイン。11番から圧巻の3連続バーディで6アンダーまで浮上すると、終盤17番でもバーディを奪取。7アンダーで首位と1打差で最終ホールを迎える。18番グリーン上入れればプレーオフのバーディパットは14メートル。「絶対カップをオーバーさせてやるという強い気持ちで打った」強い思いのこもったパットはラインに乗ってカップに消えた。

 奇跡のバーディフィニッシュで8アンダーでホールアウトすると、最終組の兼本、藤田も伸ばしきれず8アンダーでフィニッシュ。勝負は18番繰り返しのプレーオフに突入した。1ホール目で兼本が脱落、勝負は藤田との一騎打ちに。「藤田さんに何も勝てるものはない。とにかく気持ちだけは負けないように」3ホールに及んだプレーオフはパーが続く我慢比べ。最後は藤田がセカンドを池に落とし松村に軍配が上がった。

 プロ入り5年目。ようやく手にした初優勝の裏には歴代の賞金王の“教え”があった。

 まず転機になったのは今年のオフ、谷口徹に誘われた宮崎での合宿だ。「褒められることはなくて、ダメだしばっかされてます」かつての賞金王のもとで技術、メンタルを徹底的に叩きのめされた。以来谷口を師匠と仰ぎ、その“教え”を胸に叩き込んで今シーズンを戦ってきた。

 2つ目は片山晋呉に指摘されたショートゲームの“教え”。「ボール(の置く位置)が中に入りすぎていることを指摘されました。確認したらショートゲームが良くなった」この日はバンカーにたびたびつかまったが「全部お先にいける距離についた」と第一人者のアドバイスでグリーン周りの精度は格段に上がった。

 3つ目は昨年の賞金王、石川遼の“教え”だ。石川が連覇を達成した「フジサンケイクラシック」では最終日最終組で共に回った。「あの時、遼は序盤トラブルとかあったけど、本当に落ち着いてプレーしていた。こういう風にしていかないと優勝は出来ないんだなと感じた」終盤に近づくにつれて集中力を増していく19歳の姿に大きな影響を受けた。そして、今日はそこに自身を重ねるように後半に猛チャージ。「今日は全ホール攻めていきました。攻めのゴルフをしないと優勝できない」連覇を目指す19歳をも上回るアグレッシブさで勝利を手繰り寄せてみせた。

 賞金王からの3つの“教え”、「人の倍やらないと」と自身に厳しいトレーニングを課してきたたゆまぬ努力によって重かった勝利の扉をこじ開けた27歳。また1人、力のある若手が表舞台に立った。

【最終結果】
優勝:松村道央(-8)※プレーオフ
2位T:兼本貴司(-8)
2位T:藤田寛之(-8)
4位T:ブレンダン・ジョーンズ(-6)
4位T:石川遼(-6)
4位T:河野晃一郎(-6)
7位T:上平栄道(-5)
7位T:金度勲(キム・ドフン) (-5)
9位:谷口拓也(-4)
10T:薗田峻輔(-3)他2名

プレーオフ敗退の兼本、勝ち運に見放された瞬間とは?

2010年10月03日20時01分

リーダーズボード

順位 選手名 スコア
優勝 松村 道央 -8
2 兼本 貴司 -8
藤田 寛之 -8
4 B・ジョーンズ -6
石川 遼 -6
河野晃一郎 -6
7 上平 栄道 -5
キム・ドフン -5
9 谷口 拓也 -4
10 藤島 征次 -3
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プレーオフの末、敗退した兼本貴司

プレーオフの末、敗退した兼本貴司(撮影:米川昌俊)
プレーオフの末、敗退した兼本貴司 17番、ティショットを曲げてしまった兼本 17番、ティショットを曲げたあと今度はバンカーへ、このホールボギー プレーオフ1ホール目で兼本は脱落
<コカ・コーラ東海クラシック 最終日>◇3日◇三好カントリー倶楽部(7,310ヤード・パー72)

 愛知県にある三好カントリー倶楽部を舞台に開催された、国内男子ツアー「コカ・コーラ東海クラシック」の最終日。単独首位からスタートした兼本貴司は、スコアを1つ伸ばすに留まりトータル8アンダーでホールアウト。松村道央、藤田寛之とのプレーオフ1ホール目で姿を消し2位タイで4日間を終えた。

石川遼の全ストロークを振り返る

 ドライバーが安定しない中で「腹を立てないようにゴルフしてきた」この日も苦しいながらも崩れることなく首位をキープし続けた。しかし、最終18番でセカンドをピンに絡めることが出来ずついにクラブを地面に叩きつけた。結果プレーオフで敗退。「耐えてきたのに72ホール目でクラブを叩きつけてしまった。アレで勝機がなくなったんでしょうね。最後の最後で我が出た」感情をコントロール出来ずクラブに当たってしまった行為。緊迫した状況でしょうがないこととはいえ、自ら勝ち運を手放してしまった。

 振り返れば自分が勝機を失ったと感じた場面はその前にもあった。難関の16番パー3だ。「藤田さんはピンを狙ってガケに落としてダボ。僕は逃げてパーをとった。その時点で僕は負けていたのかもね」終盤で失われた攻めの姿勢と自制心。今季2勝目は目前だっただけに悔やまれる最終日となった。

【最終結果】
優勝:松村道央(-8)※プレーオフ
2位T:兼本貴司(-8)
2位T:藤田寛之(-8)
4位T:ブレンダン・ジョーンズ(-6)
4位T:石川遼(-6)
4位T:河野晃一郎(-6)
7位T:上平栄道(-5)
7位T:金度勲(キム・ドフン) (-5)
9位:谷口拓也(-4)
10T:薗田峻輔(-3)他2名

藤田寛之、痛恨のジャッジミス!プレーオフ池ポチャで散る

2010年10月03日20時10分

リーダーズボード

順位 選手名 スコア
優勝 松村 道央 -8
2 兼本 貴司 -8
藤田 寛之 -8
4 B・ジョーンズ -6
石川 遼 -6
河野晃一郎 -6
7 上平 栄道 -5
キム・ドフン -5
9 谷口 拓也 -4
10 藤島 征次 -3
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惜しくも2位タイに終わってしまった藤田寛之

惜しくも2位タイに終わってしまった藤田寛之(撮影:米川昌俊)
惜しくも2位タイに終わってしまった藤田寛之 最終日は69でまわりプレーオフに進んだ 16番、ティショットが崖下に落ちて痛恨のダボ プレーオフを終えて、優勝した松村と握手を交わす
<コカ・コーラ東海クラシック 最終日>◇3日◇三好カントリー倶楽部(7,310ヤード・パー72)

 プレーオフにもつれ込む大激戦となった国内男子ツアー「コカ・コーラ東海クラシック」。最後は松村道央が藤田寛之、兼本貴司を振り切りツアー初勝利を挙げた。

石川遼の全ストロークを振り返る

 プレーオフ3ホール目、藤田がセミラフから放ったセカンドはグリーン手前に落ちると傾斜をコロがって池ポチャ。「良いラインに飛んで行ったんですけどギリギリだったのかな」打つ直前に6番から7番にクラブを変えたジャッジミスも響き、今季2勝目は数々のドラマを生んだ三好18番の池の波紋と共に消えた。

 今季は「つるやオープン」で早々に1勝を挙げると春先は毎試合のように優勝争いに顔を出し賞金ランキングも1位に立っていた。しかし、夏場にはいると突如ショットの調子を崩し「全英オープン」からは国内海外ツアー合わせて6戦連続予選落ちを喫するなど苦しい時期をすごした。それでも師匠芹澤信雄と「原点に戻る」というスイング矯正が奏功。「やり続けたら結果がでましたね」ようやく本来のショットのキレを取り戻した。

 この日も安定したショットを武器に序盤からバーディを量産し首位の兼本を猛追した。しかし、終盤一番ミスが出てはいけないホールで手痛いミスがでた。“魔の16番パー3”のティショットはこの日初の「逆球」。グリーン左サイドのガケを避けてピン右を狙ってスライスを打ったつもりが、出た球はまったく反対に曲がるドローボールで崖下に落ちた。そこからリカバリーを試みるもこのホールダブルボギー。直後の17番でバーディを奪ってプレーオフに持ち込んだものの結果的にはこのミスが響いた。

 「今日は勝ちゲームだったんで、こういうところを勝たないといけない。負け方が良くないですね。自分自身しっかり反省しないと」と語った藤田だが、武器であるショットに切れが戻ってきた。賞金ランキング2位に浮上した40歳が秋の主役となるか。